2.《ネタバレ》 マンガオタク(?)として、日本でも有名になってきたチャウ・シンチー。ただしこの作品は過去の食神・少林サッカー・カンフーハッスルと違い、ベースは父子の物語。タイトルにもなっている「ミラクル7号」は前半殆ど出てきません。序盤は貧しいながらも楽しく暮らす父子の姿、息子に期待をかける無学な父親と、父の期待に応えようと頑張る素直な息子が描かれています。そしてミラクル7号ことナナちゃんの出番がきても、殆ど活躍はありません。妄想の中では便利な道具を次々と繰り出す万能っぷりを発揮しても、実際は誰も見ていない場所で扇風機を直すくらいの力しかない。このあたり、藤子・F・不二雄氏のSF短編を連想させます。また後半の展開は、「E.T」や「ニューヨーク東8番街の奇跡」あたりを連想する方がいるかもしれません。とにかくあちこちに散りばめられた小ネタはさすがにチャウ・シンチー、無駄なところに凝ってます。ただ残念なことに、前作までの清清しいほど勢いがある突き抜けたB級っぷりが殆ど無く、この映画全編に漂うのは良くも無く悪くも無い佳作感。まあ虫の苦手な人以外は安心してみることが出来るでしょう。ただ1つ、この作品で素晴らしいのは主役である子役の演技。彼が(…というか彼女なのですが)泣くシーンは、思わずもらい泣きをしてしまうほど。ちなみにマスコットのナナちゃんは物語の中では完全な空気状態、いわゆるご都合主義の為の存在です(笑)。