8.《ネタバレ》 最初に想像していたのは世界規模で起こる病魔の原因と治療法を究明するパニック映画でした。
実際には大半が隔離された病棟での人間ドラマで、しかもその内容が重かったです。
この映画は目が見えない感染病が発生したら社会はあるいは世界はどうなるのか、
という事象を追っていくシミュレーション的な作品ではなく、
その特異な事態に遭遇したとき人は何を選択し、どう行動するのだろう、
ということを考えるバーチャル的な作品のような気がします。
目が見えないというのは相手の顔がわからないということであり、
この映画では名前ではなく職業(特徴)で人物があらわされていたりと、
インターネットの匿名性のようなものを感じさせます。
理性があれば、普通はレイプしようと考えません。
しかしお互いの顔が見えないとしたら、罪悪感が減少するかもしれません。
また銃などの力を手にしたら、欲望が暴走するかもしれません。
強制された場合に、自分の正義や尊厳をつらぬけるのか?
もしかしたら簡単に崩壊してしまうのではないか、などと考えたりします。
面と向かっては言えない(言わない)ことも、ネットの書き込みでは書いてしまうように、
匿名性により人間の醜悪な部分が垣間見えることもあります。
映画ではそのリアルとバーチャルの中間的な状況を描こうとしたのかと想像します。
冒頭の病人を隔離して丸投げというのはありえないかなと思ってましたが、
世界で流行したインフルエンザのニュースの中で、
評判(自己利益か?)を優先し診療拒否をしていた病院があったのを思い出し、
あながちフィクションですまないのかもと思わされました。