1.《ネタバレ》 映画の雰囲気は凄く好き。プロヴァンスを思わせる、緑が生い茂った木々に囲まれた母親の家の美しさは、もう素敵すぎて言葉が見つからないです。
けど、ストーリーの本筋はこれといった面白いところがあるわけでもないのが残念。
美術品が残る家の中を紹介し、母親が亡くなって弁護士を交えて遺産相続や実家の存続について話し合う。美術品の行方は、オルセーに寄贈されながらも多数の展示品の中に埋もれてしまい輝きを失ってしまったような物もあれば、美術的な価値がある事も気づかれないままに普通の道具として扱われてゆく物もある(それはそれで良いのだが)。また、家を含めた財産を引き継ぐ権利を放棄する彼女の子供たちや、ラスト近くで、家が持つ閑静な雰囲気など気にもかけずにけたたましく音楽をかき鳴らして騒ぎたてる若者たち・・・。
実際、美術館に展示されるような美術品の周辺では、このような皮肉めいた出来事は現実に起こりうるのでしょうけど、如何せんリアリズムを過度に追求している感が否めず、全てのプロットに面白味が感じられなかったです。
それと、母が亡くなった事を知る時の描写ですが、余りにもあっさりと描かれていたのも、もう少し工夫出来なかったのかという気がしました。