1.《ネタバレ》 息苦しくなる映画で、この作品のトーンからすると「最後は幸せになりました」じゃなく、最後はきっと「それでも挫けずに頑張ると決意に燃えた目をするぞ」と思っていたら、ラストまで必死に状況に耐えているだけで精一杯で、そんな決意に燃えている余裕すらない。周囲に気を配り、警戒し、次に自分を待っているものの気配を感知しようとそれだけで必死。生きていくって濃縮するとこれなんだ。たしかに人生の真実が描かれてはいるが、ちょっと私には息苦しすぎた。スマイルスマイルって言われても強ばるばかり。変に印象に残っているシーンが、自殺未遂した脚の悪いお姉さんの退院後の挨拶の場。あらたまって、教会にふさわしい悔悟の言葉を連ねていると、幼い子たちからクスクス笑いが起こり、やがて照れていた本人も笑い出す。このシーンがよかった。息苦しさがフッと抜け、この施設の空気が全体として感じ取れた気になった。こういうシーンをもっと欲しかったな。一番親しかったスッキがアメリカに養子にもらわれていって本当に独りになり、スッキと一緒に弔った小鳥のように自分を埋葬してみたり、プレゼントの人形を壊したり、もう最高潮に息苦しい場が、ああいう息を抜くとこがもっとあったら、息苦しさを越えた正体を伴って立ち現われたのではないか(あのスッキっていうのがよく描けていて、主人公にとっては唯一の友だちなんだけど、ちょっと鬱陶しい感じもちゃんと表現されていた)。こぶとりじいさんの話は韓国にもあるんだな。それとも植民地時代にこっちから伝わった可能性もあるか。自分の置かれた運命の重さを次第に理解し、ただただ呆然としている主人公の雰囲気が誰かを連想させるんだが、とずっと気になってて思い出せず、床に入ってから唐突に思い当たった。皇太子さんちの愛子さんだ!