1.《ネタバレ》 3D吹替え版を鑑賞。本作の見所の一つである映像の美しさはやはり段違いの素晴らしさであり、お腹いっぱいに堪能できる。フクロウの羽毛の柔らかさだけではなくて、埃の舞う様子、水滴の粒や空気の流れ、炎の燃え盛る様など、リアルの現実でもなく、既存の映画とも異なる新たな体験をすることもできるだろう。壮絶なバトルシーンについても、スローモーションなどを多用したり、工夫されており、見所は十分ではあるが、さすがにフクロウということもあり、複雑な動きを描くことは難しいようだ。
ただ、あまりにもリアルに描きすぎているので、フクロウの各キャラクターが全く可愛く見えない。小さいフクロウなどは可愛く見えることもあるが、ファミリー向けアニメ作品としてはこの点はやや致命的かもしれない。
映像の美しさは保証モノではあるが、ストーリーについては正直言って子供騙しレベルといえる。映像の素晴らしさとストーリーの不味さの“バランス”があまりにも悪すぎた。一方がいくら素晴らしくても、他方がダメならば、映画全体の評価が低くなってしまった。ストーリーは「スター・ウォーズ」をベースにして、最後に「ロード・オブ・ザ・リング」を加えましたというような仕上りとなっている。
本作で多用されている『左脳に従え』というフレーズがどうしても『フォースに従え』としか聞こえない。主人公のソーレン=ルーク、ジルフィー=レイア、クラッド=ダース・ベイダー、ライズ=ヨーダ、トワイライトとディガー=R2D2、C3PO、メタルビーク=パルパティーン、こうもり=クローン軍団のようにしか映らなかった。
善と悪の戦いを描くファンタジー映画は、基本的にはどの作品も似たような構図にはなるが、本作はあまりにもオリジナルティがなさすぎる。
どこかで見たことのあるストーリーに加えて、「月光麻痺」「フクロウの左脳に影響を及ぼす鉱石」「飛べないフクロウが数分のトレーニングで一瞬にして飛べるようになる」など、観客を無視してすっ飛ばすようなところも見られるのも問題。
原作がある作品であり、難しいかもしれないが、思い切って子ども向きのファンタジーではなくて、大人が楽しめるように、ストーリーをダーク化すれば、もうちょっと評価される作品になったかもしれない。
大人の事情ということもあるとは思うが、これでは中途半端にしか感じられない。