5.《ネタバレ》 今までのハネケ監督の中では意外と見易い。如何にしてファシズムが小さな村から蔓延していったかを分析しながらも、教師を狂言回しにしてミステリーの体裁を装っているからか。罪を犯した子供に罰として無知の象徴である白いリボンを腕に結びつけるが、閉鎖的で抑圧された封建社会において、捌け口にされた子供の自己肥大化が進むのは当然の帰結だろう。どうしてそういうことをしたのかに大人達が真剣に向き合おうとしないし、心から信頼することもしない。子供には自分の理想通りであって欲しい押し付けと綺麗事だけが残るのが皮肉だ。二度における世界大戦は、様々な問題を先送りにした身勝手な大人達への復讐のように思える。並行的に描かれる教師の物語が救いかもしれぬが、部外者ならではの他人事と読み取れる部分もあり、我々も同じではないか。 |
4.不穏な空気をかもし出すのはハネケの十八番です。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-02-06 01:32:59) |
3.《ネタバレ》 たぶん、村を覆う不穏の気配を描いた映画なのだろう。それは圧倒的で、白黒の美しい田園風景が周りを囲んでいるだけ、さらに不穏である。誰が犯人か、というミステリーの興味にしちゃ余計なものが多すぎるし、厳格さは子どもをダメにする、というテーマにしちゃ集中感がない。子どもに収斂されていく不穏な気配(やがて世界大戦に移ろっていく)を味わう映画なんだ、と納得しようと思ったが、なんかそれにしても集中感に欠けるなあ。語り手のロマンスは村の厳格な風土との対比で入れてるのだろうか。そのほか意味ありげなエピソードがあったり中途半端なエピソードがあったり、すべて「気配」を醸成してはくれても「テーマ」に集中してはくれない。トーンとしてはベルイマン的で、だいたいあの厳格な牧師の顔がグンナール・ビョルンストランドを思い出させる。ドクターが助産婦に毒づくあたりの容赦のなさもベルイマンタッチ、でもあちらにはもっと集中感があった。2時間半も使って「気配」を描こうとはしなかった。キーになる子どもたちが、へんにニタニタ笑ったりしないのはいいんだけど。ここらへんの時代を描くとなるとパリやウィーン、ベルリンなど都会が多く、田舎の20世紀初頭ってのは珍しかった気がする。最初のうちは18世紀末かと思って観ていたら、シューベルトがどうのこうのと言うんで19世紀かと思い直したところ、セルビアで暗殺事件が起こったという報が入って驚いた。もっぱら都市で語られる世界史と地方史ではズレがあるんだな。あそこらへんのヨーロッパの北側、第一次大戦前後の田舎の風物としては、北隣デンマークの『奇跡』(30年ごろが背景)が思い出される。神の罰が重くのしかかっている風土ではある。「神さまに僕を殺す機会を与えたんだ」。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-12-29 10:11:22) |
2.《ネタバレ》 ミヒャエル監督は「ピアニスト」を観て、かきむしるかのような痛さに苦手だと感じていた。でもこの作品は全然テイストが違った。結局、最後まで観てもすっきりしないのだが、面白い展開だった。ミステリー仕立てで、最初、時代の空気に敏感な子どもたちを描き、後半、やっと悪人らしき男爵、何も分かってなかった神父など出てきて、それを解決するのが、若い学校の先生、というストーリーかと思っていたら、あれ?という感じで村民の噂だけで話は閉じる。結局、戦争に突入していき、後のナチスなどを生み出す空気はこのあたりの民衆のモヤモヤしたところだった、という話のようだ(某映画雑誌より)。でもミヒャエル監督はこういう人間描写もできるんだと思い、有名な「ファニーゲーム」なども観てみようと思った。 【トント】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-06-29 21:33:34) |
1.《ネタバレ》 暗いのでマイナス1点,後味の悪さでマイナス1点,謎解きが分からずマイナス1点,謎解きが分からなくても賞を得たことに対する不満でマイナス1点です。見たあと,なぜ……が多すぎます。 |