1.《ネタバレ》 名匠キャロル・リードが第二次大戦時に撮ったプロパガンダ映画ですが、なかなかの佳作です。戦時中は米英の映画監督たちも競ってプロパガンダ映画を撮っていますけど(ジョン・フォード、ジョン・ヒューストン、フランク・キャプラ、フリッツ・ラング、etc)私が今まで観た中では最良のプロパガンダ映画だったと思います。ちなみに最悪はスターリンが撮らせた『ベルリン陥落』で、トラウマになるほど凶悪な映画です。 さてストーリーは招集された市井の市民たち8人をこれまた予備役将校のデヴィッド・ニーヴンが一人前の兵士に育ててゆくというプロパガンダ映画の王道ですが、8人がけっこう個性豊かに描かれているので訓練場面ばかりですが意外と退屈せずに観れます。ニーヴンは実は俳優になるまでは士官学校卒業のバリバリの現役将校だったそうで、大戦が始まると英国陸軍に大佐の階級で復帰しています。大佐と言うと連隊長の階級ですが、さすがに実戦に出ることはなく情報部などにいたようです。軍に入って将校を勤めたハリウッドスターは多いですが、ニーヴンの大佐が最高位ではないでしょうか。北アフリカに送られた彼らはドイツ軍と激戦になって「最後の突撃」に赴くところでこの映画は終わるのですが、まるで第一次大戦のときの様にゆっくり歩きながら敵陣に向かってゆく姿は、日本軍の玉砕・バンザイ突撃とは違って「勝って生き残るんだ!」というしぶといジョンブル魂が感じられました。 フランス人酒場の主人役でピーター・ユスティノフが出演し共同で脚本も書いていますが、この人脚本家としてもなかなかの腕前だったんですね、感心しました。