1.《ネタバレ》 「レオン」の激甘ストーリーを忠実に踏襲しつつも韓国映画お得意の残虐バイオレンスを加味することで、何とか救われた印象。ウォンビンの「母なる証明」もキム・セロンの「冬の小鳥」も大好きなので、キャストの演技に集中し、ストーリーにはある程度目をつぶろうと思って鑑賞したが、あまりにも「レオン」の轍を踏みまくるのでちょっと食傷した。主演2人の演技も前作の方がよかった気がする。特にキム・セロンはクサい台詞が多くて、ちょっとかわいそうだった。あの台詞なら自然に言う方が難しい。素性を隠すキャラということで、ウォンビンも大半が鬼太郎風の髪型なので、ちょっとぱっとしない。肉体美は凄いが。
一方で、めっけものだったのは脇役陣のキャラ。マンシク兄弟をはじめとして、なかなか見応えのあるワルどもが勢ぞろいである。「レオン」でもゲイリー・オールドマンはド変態だったが、それがいっぱい出てきたらさぞ面白かろう。そんな感じ。特にマンシク兄の不気味さは出色。一見、普通のヤクザなのにあの異常者ぶりは好みだ。三枚目担当の麻薬課の刑事の役者も良かった。韓国映画は、いつもきちんと脇を固めていて、俳優の層の厚さに感心する。
一方で、本編は韓流好きのおば様たちには受け入れがたかろうと心配になる出血量を誇っていたが、劇場ではすすり泣きも漏れていた。けっこう一般ウケもするのかもしれない。少し意外だったが、さすがあれだけ「レオン」がヒットするお国柄だけのことはある。こういう作品は日本人の琴線に触れやすいのだろう。