1.マンガを一流の役者・一流の監督で映画化する、ってののハシリか。ポップな感覚。壁の模様なんかはいいけど、演出のほうはシラケ気味。ラストのアラブの騎馬軍団の疾走と甘美なラブソングの交錯のみ、色褪せずにイキイキしていた。役者ではモニカ・ビッティはよくやってたけど、『ベニスに死す』ダーク・ボガードと『コレクター』テレンス・スタンプは浮いてた。とりわけ後者。こういう役者たちをパロディで使うってアイデアは悪くないのに、残念、外れた。当時観てればパロディとしての力がより感じられたのかも知れない。スパイ映画のいい加減さを笑う、って。でも007のほうはいま観ても面白いのに、それを笑ったパロディのほうはいま観るとつまんない。パロディの哀しみ。イギリスという国では、こういう喜劇ができないと一流監督と思われなくて、J・ロージーが慣れないのに一生懸命やってみた、って感じもある。