1.《ネタバレ》 「青春映画」って言うと、高校生や大学生くらいの主人公を連想するものですが、こういうのも立派な「青春映画」じゃないかって思えますね。
一流の大学を出たのに「本当にやりたい仕事が見つからない」とボヤいて、実家暮らしでバイトを続けてる主人公。
そんな彼がパーティーの一夜を経て、未来に向けて前進するまでが描かれていますし、年齢など関係無く「青春」を感じさせてくれる内容だったと思います。
ラストシーンにて、鬱屈とした日々を共有していた主人公達三人が再び揃って、笑顔を見せ、朝食の為に車を走らせる場面で終わるというのも、凄く爽やか。
全編に亘って懐かしいテイストの80年代音楽が流れているし、基本的には「楽しい映画」「後味の良い映画」だったと思います。
ただ、色々と欠点も目立っちゃって……
脚本の粗とか、稚拙な演出とか、そういう部分なら「愛嬌の内」と笑って受け流す事も出来るんだけど、本作の場合「主人公の魅力が薄い、感情移入出来ない」っていう根本的な部分にも不満があるもんだから、困っちゃいましたね。
序盤の段階で職業を詐称したり、車泥棒したりといった展開になるのもどうかと思うし、もうちょっと「こいつは良い奴だな」と感じさせる場面が欲しかったです。
車泥棒の結果として、当然のように捕まる訳だけど、そこで警官の父親に揉み消してもらって助かるっていうのも、凄く恰好悪い。
ここの場面、親友のバリーは「俺一人で盗んだ」と主人公を庇っているのに、主人公はバリーを庇う素振りを全然見せないもんだから、そこにもガッカリしちゃったんですよね。
「お前は未だ負けてないぞ。本気でチャレンジしてないからな」
「負け犬と名乗る資格すらない」
という父親の台詞は良かったけど、上述のアレコレが引っ掛かってしまい、イマイチ感動出来なかったのも残念。
この後、主人公は同級生の前で演説したり、度胸試しに挑んだりで「男を見せる」感じになるんだけど、それまでのマイナスが大き過ぎて挽回しきれなかった気がします。
個人的には、車椅子暮らしのカルロスの方が主人公より魅力的に思えたくらいでしたね。
プロ野球選手を目指していたのに、事故で歩けなくなったとか、それでも金融業界で立派に働いてるとか、凄くドラマティックな人生を送っていますし。
見栄を張って自分もカルロスの同僚と言い張る主人公に呆れつつも、仕方無く同調してあげる場面とか、どう考えてもカルロスの方が主人公より「良い奴」に思えたし、出番が僅かなのが勿体無かったです。
そんな訳で、総評としては「そんなに悪くない、ちょっと良い感じの青春映画」くらいに落ち着くんですが……
劇中曲の数々が凄く良いもんで、また何時か観返したくなっちゃいそうですね。
そうしたら、初見では欠点に思えた部分も違った見方が出来るかも知れないし、今からその時が楽しみです。