4.《ネタバレ》 全編「007」のパロディに終始するコメディ映画だが、歯切れが悪い。
コメディに徹しきれていないのだ。政府首脳を暗殺する悪の組織があり、全うな筋書があり、裏切りや友情、恋愛があり、アクションがあり、オチがある。雪の崖上に建つ敵の組織の要塞をみればわかるが、相当な予算をかけている。映画作りを半分真面目にやっているのだ。そうではなくて、もっとバカバカしく、おちゃらけて、笑える内容にすればよかったと思う。主人公ジョー・イングリッシュが、ミスター・ビーンズのように突き抜けたおとぼけキャラクターになっていない。ジョーをサポートするタッカーのおまぬけぶりも中途半端だ。どうせなら二人で徹底的にボケて、名コンビを組んでもよかった。
脚本はよく練られていて、笑いどころは沢山用意してある。残念なのは見せ方がうまくないこと。例えば車椅子でのカーチェイスの場面。アイデアは秀逸だが、爆笑にはつながらない。音楽の使い方やスローモーションなどでコミカルさを強調するなどの工夫が欲しい。最後の大ネタ、女王陛下を叩く場面は爆笑した。