3.《ネタバレ》 今日はご馳走作ったぞ。という母がドン、とテーブルにカレーライスを置く。サラダとカレーライスに相応しすぎるコップを突きだして、水汲もう水、早く早くというのである。宿題をやったかどうかとかゲームは一時間までだとか、いつものやりとりを終えて今日はご馳走か、何だろと聞こえるようにつぶやくが作ったと言う返事のみが返ってくるのだった。その日は偶然家族が出払って二人だけの食事となった。
「それでご馳走って何が出て来るの?」と期待にみなぎった問いを発する息子に母は今食べてるじゃないカレーよカレー。カレー一皿とレタスに掛けるドレッシングのみのご馳走とはこれいかに。想像の領域から外側にちょっぴりはみ出ていた。
「いや、美味しいね。お母さん美味しいよ。カレー」ハウス食品が作ったルーが美味しいのであってこの場合限りなくご馳走的意味合いは薄い。
「良く味わって食べなさいよー、肉がいつもより100円高いしほうれん草たくさんが入っております。凄いでしょ」でしょ?と言われても。確かにほうれん草のソテーがカレーに混ざると美味しいねであるが、いつものタマネギどっさりはどこ行った、である。
博多よかばい食品が出てこなかったのである。その上COSTも無かった。つまり、見事に私の嗜好はスルーされる結果となり、非常に無念極まりない鑑賞時間になった。確かにドラマ仕立てでプロジェクトX的な話をセクスィー部長に締めてもらうのも悪くは無いのだが、あの、なんかイライラするよかばい食品の人たちも、そもそも長すぎてそんなに大勢は見ていないだろうLOSTを丁寧にネタにしたCOSTも他の配役に降られて消滅していた。
カレーもご馳走でなくてもいつも通りに作った奴の方が良かったのだが、たまに出て来る自称ご馳走も食べておくかと、カレーの事は忘れていつもの会話に戻っていく。サラリーマンNEOの劇場版もたまに現れた自称ご馳走みたいな物なのかと見終わる頃には納得していた。
ちなみに、いつものカレーは一皿に対してタマネギ一個入っており、それが茶色くなるまで素揚げされ、良く油切りされた物が使われている。にんじんは入って居らず肉は豚肉細切れである。カリカリにフライされたジャガイモは皿に盛られた後カレーが掛かり歯応えが抜群であった。ルーはバーモントである。
どう考えてもほうれん草ソテーのカレー掛けよりも美味しそうである。