1.《ネタバレ》 中学生が考えたようなお話を素直に映像化し続けているヨーロッパコープによる、相変わらずのB級アクションです。映画の内容はDVDジャケットから連想される通りであり、B級アクションへの理解のある方であれば程々に楽しむことができる内容だし、一方でこの手のジャンルを苦手とする方であれば、本作を見逃したところで何の損もしません。。。
宇宙の『ニューヨーク1997』、この一言で片付いてしまう内容なのですが、アクションについては10年以上に渡るノウハウを持っている製作会社だけあって、アイデアの貧困さを見せ場のクォリティで補うことに成功しています。個々の見せ場については手を抜いている様子がなく、極めて真面目に撮られているのです。さらには、強すぎず弱すぎずという主人公の戦力設定や、その主人公の戦力と拮抗するように組まれた敵組織の構成なども絶妙なもので、B級アクションとしては至極真っ当な仕上がりとなっています。また、宇宙ステーションのデザインやメカ描写等には意外と気合いが入っていて、なかなか目を楽しませてくれます。後半の大規模な空中戦やラストの大気圏突入などは、なかなかイケていましたよ。。。
問題は、評価されたいと思って監督や脚本家が欲を掻いてしまった部分が、ことごとく蛇足だったという点です。シンプルな人質奪還ものに徹していれば良かったものを、その戦いに意義や主人公の成長を加えようとしたために、中盤がもたつく原因となっています。さらには、CIAの陰謀というサブプロットが物語に混乱をもたらしており、これは完全に不要でした。「主人公が実は善人だった」というオチも興ざめであり、「毒を以て毒を制す」という内容の方がアクション映画としては正解だったように思います。