1.《ネタバレ》 ストレイトストーリー」の逆であり、「市民ケーン」のラストでもあります・・
そしてシリアスなのに暗くも取れない。
コミカルな異質さはあるのに重い。
やはり変な映画でした・・
ただ・・この時代のと考えれば本当に斬新ですよ。
カメラワークも幻想的でホラーみたいだし。
最初に主人公が登場するプールから昔の我が家までの道のりは、
普通のロードムービーとは考え方を逆にしないといけません。
我が家の現実に近づくにつれ泳ぐプールの環境も変わります。
だんだんわかってきます。
泳ぎ続ける主人公を面白く見ていたのですが、
オチが読めるくらいになると(あと何件泳ぐんだ?)と嫌な気持ちに。
でもいつの間にか観ている自分もプールの住民たちと同じように、
結末を期待してしまいます。
(勘違い男!)と心で唱えながら・・
それぞれ出会う人との会話からこの主人公の過去や近況が・・
この現実から逃げ帰ってきたときの現実は・・
「スケアクロウ」的でもありますが、あれは相棒という救いがあり感動できました。
そして「市民ケーン」もどちらかというと人生のロードムービー的な作りで、
この映画のラストの朽ち果てた我が家のさびた柵はオマージュかと思わせます。
だが・・泳ぐ人はその失くしてしまったものの哀愁があまり感じられません。
おそらくは破産したいきさつや家族もないがしろにしてきた(たぶん仕事で)男の、
当然の報いとしか受け取れないのです。
しかしそれを引いてもこの発想と脚本、重いテーマを逆に突き放して描く演出・・!
私は残念ながら後味の悪さや重さも残らなかったのですが、
人生を比喩した作品でこういう変な描き方もあるんだなぁと感心しました。
音楽がまた変なんで(大袈裟で主役の体育会的なキャラとは違和感)そこがまたいい。
リメイクするならトム・ハンクス(笑)もうちょっとコミカルに仕上げられそう。