1.《ネタバレ》 家という名の檻。家族という名の鎖。そこら辺は判ります。
愛とはみっともなくたってカッコ悪くたって、自分の心に正直にあること。それも判ります。
どうにもこうにも判らないのは、でもこの映画は結果的に主役の二人を「映画」の枠の中に閉じ込めただけなのでは?という事。
前半は快調です。恋愛に至るまでの二人の描写はヘタなサスペンス映画よりもよっぽどハラハラドキドキを味わえます。
しかし、後半の交通事故から家族の強い反対への流れの明らかにワザとな凡庸っぷり、そしてそこから生まれると予測されるドラマをはぐらかしてゆく感じ、更にその凡庸~はぐらかしのパターンを繰り返す事でテーマを語ろうとするやり方、結局、彼ら自身の殻でも家族の鎖でもない、「映画」こそが最後まで二人を束縛していたのではないでしょうか。
主人公がフレームからいちいちワザと外れる事で「映画」に対する主人公の闘争が垣間見えたりもするのですが、そこまで判っているのならば、なぜそこまで意地悪なのかと。
象徴的に何度も登場するカエル、でも、この映画の目はカエルの目でなくカエルを観察する方の目に思えます。
二人の近付いてゆく、遠ざかってゆく、繋がってゆく感じは丁寧に描かれて面白かったけれど、映画をコントロールしようとする意思が表出する事によって最終的に妙に窮屈な映画に思えてしまいました。