2.《ネタバレ》 娼婦として自由奔放な生活を送る母クララとともに、まるで世間の目から隠れるかのようにひっそりと暮らす美しい少女エレノア。200年前に起きたとある悲劇をきっかけに、彼女たちは誰にも言えない暗い秘密を隠し持っていた。そう、エレノアとその母クララは永遠に歳を取らない呪われたヴァンパイアだったのだ――。ある日、200年前からそんな彼女たちを追う謎の集団に見つかってしまった母子。すんでのところで逃げ延びたエレノアたちは、一人の孤独な男が支配人を務める寂れた元ホテル〝ビザンチウム〟へと転がり込むのだった。そこで新たに娼婦たちを集め娼館を開業しようとするクララ、永遠に続くかのようなそんな母親との鬱屈した日常からいつか逃げ出したいと願う娘エレノア、そして淫靡な秘密を抱えた彼女たち親子に振り回される周りの孤独な男たち……。果たして彼女たちの運命は?かつて、トム・クルーズ&ブラット・ピットという豪華なキャストで製作された『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を世界中で大ヒットさせたニール・ジョーダン監督がふたたび挑んだのは、そんな妖艶な雰囲気が濃厚に漂うゴシック・ホラー作品でした。確かに、これまでのキャリアに裏打ちされたであろう全編に横溢するグロテスクでありながらどこか怪しげな美しさに満ちた世界観は秀逸だと思う。ただ、個人的に昔からこの監督とは微妙にセンスが合わないんですよね~。『インタビュー~』ももちろん観たし、この監督のそれ以外の代表作も何作か観てきたのだけど、いつもなんだか作りが優等生に過ぎていまいち僕の心には響かないのです。もう少し登場人物の人間味を感じられるような下世話な部分や、他の映画にはないこの監督ならではという観る者の心に深く突き刺さるような突出した演出とかがあれば良かったと思うのだけど…。でも、これはもう完全に好みの問題ですね。繊細でスタイリッシュな映像の中に、200年にわたって生き続ける母娘の確執を濃厚に描いたゴシックホラー作品としてなかなか良く出来ていたと思います。ただ、僕の好みとは合わなかっただけで。