2.《ネタバレ》 女性警官同士のバディ・ムービーというのは初めてだったので、新鮮な気持ちで観賞する事が出来ました。
都会のエリートであるアッシュバーンと、田舎の乱暴者なマリンズ。
前者が後者に迷惑をかけられる事が多かった二人の関係性が、段々と逆転していき「あれ? これってもしかしてアッシュバーンの方がダメな女性?」と感じさせられていく流れが面白かったですね。
作中で「車が爆発するんじゃないか」と思ったら、本当に爆発しちゃった場面なんかも印象深い。
とはいえ、全体的にキツめのブラックジョークが多く、アッシュバーンが応急処置に失敗して相手を血まみれにしてしまうシーンや、マリンズが病院内での電話を看護婦に咎められるも銃を突き付けて黙らせるシーンなどは、ちょっと受け入れがたいものがあったかも。
最初は嫌っていたはずの相棒を認めて、周りに対して彼女を弁護してみせる件など、こういった映画における王道の魅力を忘れず備えてくれているのは、嬉しい限り。
特に「仕事で失敗してしまった後に酒場へ足を運び、飲み明かして憂さを晴らす」流れなどは、この設定ならではの「女の友情」を感じ取れて良かったですね。
ラストシーンにおける「アッシュバーンが飼っていたはずの猫」の件も、本来は傍迷惑な話なのですが、どこか微笑ましいものがあり、後味も良かったです。
そのまま内緒で飼ってしまうのではなく、ちゃんと猫を本来の飼い主に送り返す事を受け入れてくれたのが、ギリギリのバランスを保ってくれた感じですね。
嘘を見破ったマリンズの「全くコイツは……」と呆れながらも、彼女を見離せない事が伝わってくる雰囲気が、実に良い。
里子として育てられ、これまで家族が一人もいなかったアッシュボーン。
実の弟を刑務所送りにした事を、家族から責められ続けているマリンズ。
そんな二人が、共に過ごした時間を通して「姉妹」になっていく。
皮肉な笑いの中にも、微かな温かさを感じられる映画でした。