1.《ネタバレ》 「事実は小説よりも奇なり」、本作はまさにこの古人の名言につきます。こんなお話し、フィクションならば脚本段階で即ボツにされること間違いなしでしょう。ハリウッド・セレブの自宅があんなにセキュリティが甘かったなんてとても信じ難い。ビバリーヒルズなんか町の入り口でセレブの自宅を案内するマップが売られているぐらいだから住所をネットで特定するぐらい誰でもできるでしょうが、まさかパリス・ヒルトンが鍵をマットの下に隠していたなんて(笑)。撮影には実際の彼女の家を使わせたそうで、この女どこまでアホなのかそれとも売れるためなら手段を選ばないタレントの鑑なのか?被害者の中にリンジー・ローハンもいましたが、パリスといい今や落ちるところまで落ちてしまった者同士という共通点があります。事実なのか脚色なのか判断に迷いますけど、ラストのインタビューで主犯格のエマ・ワトソンが「刑務所で隣の房にリンジー・ローハンが入っていた」と語るシーンが強烈な皮肉になっています。つまり、盗るほうも盗られるほうもその差は紙一重の似た者同士というわけです。 共感できる要素は一かけらもないんですが、ガーリー・ムーヴィーの巨匠ソフィア・コッポラだけあってそのセンスだけは円熟の域に達していると思います。彼女自身が育った環境の賜物かもしれませんが、こういうファッションとブランドものをアイコンに使わせたら、ハリウッドでも彼女の右に出るものはいないのは確かです。でもそのセンスが映像化されても、観る者の心に何かが残るかという観点から言うと、ちょっと苦しいところがあります。まあこれが彼女の趣味なんだからどうしようもないんですけどね。