1.《ネタバレ》 私は闘病モノが大変苦手でして、かなりの確率で避けてきているのですが、現時点でのマイ・ベストな役者であるB・カンバーバッチの仕事であるならば、と意を決して観賞しました。
余命わずかな人間の諦念、未練、慟哭、そういった感情を推し量ることはとても不可能だし辛いけれど、ベネディクトは感服するほどの役者魂で丁寧にジェームス像を立ち上げていたように感じました。
お話もまた、お涙頂戴で盛り上げようとするような下品さが無く、むしろ淡々としています。中年にさしかかる友人たちの叶わなかった夢だとか、現実と折り合って生活を優先することへの諦めに似た安住感など、それぞれの人生模様が旅の所々で語られます。英国の決して華美でない荒涼で凛としている自然も、ビターな物語に背景としてぴったりマッチしました。
ラストは賛否両論呼びそうですね。ちょっと予想もしなかったので驚きました。個人的にはジェームズの意思を尊重したいとは思う。しかし友人としてあの場にいたら、簡単に割り切れるものではないよなあ・・。