1.《ネタバレ》 主演の二人が大熱演、アデルは全裸も鼻水顔も厭わないし、レアはこれまでの役柄とは180度違うレズビアンの男役をひるむことなく演じきり、実力のほどを思い知らしめた。ボンドガールにしとくのは勿体ない。ものすごく熱量の高い本作、恋情がぐいぐいと迫ってくるので心に火傷をする人もいるかもしれない。
ただ、現代フランスにおけるセクシュアルマイノリティの二人を取り巻く環境はかつてほど厳しいものではないみたい。ゲイカップルであることは極力秘密にしなくちゃ、といった社会の制約のようなものはあまり感じなかった。だから個人的には、この話を男女間のそれに置き換えても全然いけるし、むしろそっちの方がキャストによってはぐっとくるかもなあ、と思ったり。
みっちりと人物の心情に寄り添い、粘着質なまでに描きこんだ制作意欲には敬服するけれども、たとえば自宅パーティでのアデルとゲストとのやり取りや、アデルの職場の光景(それも多数)などあんなに必要だろうか。おかげでこの長尺、私はちょっとダレた。