2.これは趣味を仕事にする女の典型的なファンタジーですね。
オシャレなカフェだったり、雑貨屋だったり、パン屋だったり。
そんな自分勝手な経営じゃ採算が合わないでしょって疑問が邪魔をして、素直に作品を楽しめないことが多い。
本作の服というテーマには全く興味が無くて、これは駄目かも知れないと思ったんだけど、中谷美紀の魅力でなんとか乗り切れました。
裁縫以外は何も出来ないという設定が愛らしくて良かったです。
これが何でもこなす完璧超人の設定だったら、嫌味が際立ってしまったかも知れない。
作業するシーンが多くて、愛情を込めていることが伝わって来たし、その姿が凛々しくて美しかったです。
残念だったのは三浦貴大の方で、どう考えてもストーカーとしか思えない。
しかも、あんなにも美味しそうだった団子を嫌いと言い放つ神経が理解できない。
団子に込められた愛情を理解できない人間に服に込められた愛情を語る資格は無いと思う。
そもそも嫌いなんだったら、最初に遠慮しておくべきで、あれではお母さんに対して失礼過ぎるし、成り行きで食べることになってしまったのなら、嫌いということは誰にも言うべきではない。
女子高生たちは服に対して失礼なことを言うけど、最終的には理解を示して好感度を上げたけど、三浦貴大は団子とお母さんの心遣いを踏み躙ったまま終わってしまったので、好感が持てなかった。
逆に言うと、余貴美子の好感度が高過ぎて、あんなにも熱心に団子を勧めてくれてたのに嫌々食ってたのかと思うと悲しくなります。
関係無いけど、魔女宅のニシンのパイを思い出してしまった。
それでも、2人がくっつくようなラブストーリーにならなかったのが幸いして、中谷美紀の視点だけで話が丸く収まって良かったです。
まあ、団子屋の物語ではないので、服さえ褒めておけば作品としては成り立つという演出なのかも知れないけどね。
あと、黒木華の存在は作品を引き締めていて、感動的ですらあった。
服に興味のない僕にもわかり易いようにその素晴らしさを伝えてくれました。