1.《ネタバレ》 シリーズ第8作。一作目に出演していた丹波哲郎や、シリーズ初期作で毎回悪役を演じていた安部徹が久しぶりに出演していてなにやら懐かしい気になるし、冒頭に真一(高倉健)の殴り込みシーンが回想的に入っているのもちょっと集大成的な感じがしなくもない。(その中で出てくる「七つの子」を歌う男は杉浦直樹かと思った。)そんな今回は真一が列車の中で出会った父親を捜す少女とともに向かった炭鉱が舞台になるわけだが、例によってその炭鉱ではいざこざが起きていてという筋立て。健さんと炭鉱といえば「幸福の黄色いハンカチ」をどうしても思い浮かべてしまうのだが、やはり東映アクション映画である本作は当たり前だがまったく違う映画になっている。今回も健さんはかっこいいのだが、それ以上にかっこいいのが丹波哲郎扮する喫茶店のマスターで、もちろん一作目とは違う役柄だが、出てくるだけで画面のすべてを持って行ってしまいそうな勢いを感じた。少女の捜していた父親が大槻(田中邦衛)というのはシリーズを連続してみているとどうなのかと思う部分もなくはないが、前後のつながりを重視するシリーズではないのでこれでいいのだろう。(東映のシリーズものでこれを気にしていたらキリがない。)ドラマとしてはシリーズの定番ともいうべき真一とこの大槻の娘との交流がみどころとなるはずであるが、今までのこのパターンの回と比べるとその部分はちょっと弱い印象があり、そこが残念といえば残念。でもこの少女のませたキャラクターはよく立っていた。今回面白かったのは冒頭の列車の中でのマジックシーン。手に火がついて慌てる真一がなかなかお茶目で、後年の出演作では見られないような健さんの演技もこのシリーズの見ものなのかもしれない。同じく列車のなかで登場する由利徹も持ち前のコミカルな味をいかんなく出している。