3.《ネタバレ》 非日常で起こった恐怖の中で、兄弟の成長、そして他者、自分に対する赦しを描いた作品。
過去に起こった両親の離婚、母の15年前の家出という二つの大きな出来事を通して、親子三人がそれぞれ癒せない傷を背負っている事が次第に明かされていく。
姉は鏡に映る自分を見る事か出来ない。自分の存在を認める事が出来なくなってしまった。
弟は8歳の時のアメフトの試合で自分が犯したミスによって父親が出て行ってしまったと信じている。
母は両親との決別を悔いている。
物語は進み、入院中には本物の祖父母に相談をしていたのであろう、老人二人との対決を迎える。
姉は鏡の中の自分と向き合う事で老婆を倒す。
弟は前は立ち向かえなかった、敵に向かっていく事で老爺を倒す。
二人が昔の自分を超え成長を遂げた瞬間。
皮肉にもそれは間接的に祖父母の手によって、為されたのだろう。
迎えたクライマックスであの頃の家族が映る。娘は父を赦した。
父を赦した娘、偽物の祖母の独白を撮影する娘によって母は赦された。
そして弟がラップを披露する後ろで姉が髪をとかし物語は終わる。
POV形式を取る事で、この映画自体が娘の意思を表している。その言葉で語らない意思表示、メタ構造も素晴らしい。
子供からみた老人の恐怖も、ホラーとコメディが表裏一体である事も、緊張感の中でうまく表現されていた。