1.《ネタバレ》 サッチャー政権による炭鉱閉山ドラマって多いなあ。いかに荒療治で、人々の傷も大きかったか分かろうというもの。今作は炭鉱ストの
フィールドに何故かゲイの皆さんが加わる。「同じく圧政に苦しむ境遇だから」というのが理由らしいが、このあたり描写あっさりし過ぎじゃないですかね。たまたまTVでリーダーが炭鉱街の苦境を見て、思いつきで行動をおこしたように見える。そんな唐突なことで集団は動くのだろうか。
描写の浅さはそこかしこに感じる。一因としては、誰が「主人公」なのか軸がはっきり定まっていないこと。炭鉱にもゲイ側にもぱらぱらとさわりだけ触れられる人物が多数存在している。群像劇というには各キャラに入り込めるほど掘り下げていない。炭鉱サイドのアンチゲイのおばさんも、ビル・ナイもそれなりに存在感を発しているけど、話の収め方はもやっと不発に終わる。A・スコットのウェールズ人のアイデンティティーのくだりとか、菓子職人志望の青年ん家の揉め事とかはいっそカットでよかったのでは。描ききれてないもん。
実話の強みで、終盤のパレードのシーンはそこそこの盛り上がりを見せるけれども。実話だからなあ。なんかずるいよな。
炭鉱ものは名作が多いので、ちょっと辛口になってしまった。