1.《ネタバレ》 内田監督の作品を観るのは本作で3作目ですが、毎回幼少期に虐待を受け心に傷を負った人たちが登場します。そして皆さんハッピーエンドとは言い難い結末を迎えるようです。何事も最初が肝心と考えるなら、ごもっともな結論ではあるのですが、連続して観るのはキツイものがあります。とはいえ、本作は原則ゾンビコメディ。深刻度合は低めの設定。なので内田監督作品の入り口としては丁度良いかもしれません。もっとも逆に言うなら「ゾンビもの」の制約が足枷となり、監督の真骨頂である“人生に対するエグイ踏み込み”を浅くしているとも言えます。作風的には園子温監督に近いものを感じますが、園監督が死に至る猛毒なら、内田監督は『体に良くないよ』くらい。過剰摂取をしなければ大丈夫でしょう(無責任発言)。良いか悪いかは別として、内田監督の人間観(人生観)は理解できますし、演出や表現方法にも魅せる部分があり、嫌いではありません(もう少しで好きと言えそう)。それはそうと、劇中ではゾンビを感染症と捉えた「緊急事態宣言」が出されておりました。私が鑑賞したのは2020年の春。まさか新型コロナウィルスでリアルに「緊急事態宣言」が出される世の中になるとは。映画の中の社会は「3つの密」を避けるのではなく、むしろ密集して生活した方が安全なんでしょうけども。ちなみにタイトルは『メタル・オブ・ザ・デッド』が一般的なのでしょうね。