5.《ネタバレ》 原題を漢字で書くと「半島」だけなので簡単だ。新幹線の続編だが、前作と同じ劇中世界で時間が4年後というだけで登場人物は全く違っている。
序盤では現状説明として、半島南部がもう人の住む場所でなくなったために国家としては消滅し、単に「半島」と呼ばれていることが説明される。香港の怪しい男が言った「悲しい過去があるからな」という言葉が、「日本沈没」(小説・映画)を連想させる物悲しさを出していて、ここからどういう話になるのかと期待させられる。
しかし現地に行ってからは単なる世紀末バイオレンスの世界になり、また後半はカーアクションが延々と続いて正直辟易する。最後は天から救いが来るといった極めて都合のいい展開であり、自然体で前向きな姉妹の活躍が特徴的という以外は、娯楽映画として前作に及ばないというのが率直な感想だった。
物語面では、まず助けるか見捨てるかの問題は前回につながるように見える。これについてはマレーシア人が言ったように、皆にとってベストになるよう常識的な選択をする、という考え方は当然ありうるが、しかし軍隊のような無機的な判断ではなく努力したかが問題であって、特に家族を見捨てることなどできないはずだということかも知れない。
また微妙に自国向けのメッセージかと思ったのは、半島が地獄だ(※参考事項「ヘル朝鮮」헬조선)といって簡単に逃げ出せばいいのでなく、家族が一緒ならどこでも地獄ではないはずだ、と取れる台詞だった。とぼけた爺さんが本当に元師団長だとして母子と本当の家族なのかは不明瞭だったが、少なくとも母子の方では4人が家族として暮らしたこと自体を大事に思っていて、場所がどうかは問題にしていなかったらしい。もしかすると原題の「半島」というのも国家の枠を取り払った上で、自分らの住みかの本来価値を見直そうというような意味だったかも知れない。
他国のことなので理解に困るところはあるが、最後の「私がいた世界も悪くなかったです」という言葉に少し心を打たれたのは間違いなく、結果的にあまり悪くはいえない気分で終わった。「日本沈没」の韓国版(沈没しないが)のようなものと思っていいか。