1.《ネタバレ》 その後の総理大臣であるところの菅氏、岸田氏と比べると、アベ氏の方がやはり役者が上だと思えてくるからシャクだ。つまらない人間だとは思うが、心を悪魔に売り渡せば、どんな口先三寸もでてくるものなのかも知れない。そして、そんな姿こそむしろ悪魔的。理想なんてあるようでないくせして、日本の本当に大事な部分をあっという間に破壊した一味の中心人物。見ていると、どんどん気持ちが小さくなっていく。怒りよりあきらめのほうが大きいのだ。最期に監督が登場するのは、編集すればするほど無力感にさいなまれるのがたまらなかったからではないか。おそらく本作のエピソードになるネタは、まだいくらでもあるのだ。■今、一番見たいドキュメンタリーは、本作冒頭にも出ていたそれでもアベ政治を支援する人たちの暮らし。Yahoo映画のサイトで、本作を☆1評価して一行コメントを残していく人たち。彼らは、今の社会を自分の子らや職場の後輩にどんなふうに語っているのだろう。どんな本棚を持っていて、何を食べて暮らしているのか。切実に見てみたい。