4.キャサリン・ヘプバーンがとても魅力的だった「旅情」、
近年では豪華な2大スターの競演となった「ツーリスト」・・・。
などなど様々な映画の舞台となってきた水の都ベニス。
船と人が行き交い恋が芽生える街、ベニス。
しかし本作には全くそんな空気はありません。
作品を支配する、寒々しくどこかよどんだ空気。曇天の空模様。
運河の水も他の作品と比較するとどこかよどんで見えます。
娘の死から始まり、ベニスに来てからも漂う死の予兆。
そして垣間見えてくるごく近い未来。作品全体にいや~な空気が漂う。
微妙に品があり、どの映画とも違う独特の空気がありますが、
ゾクゾクッと背筋が寒くなるようなものがもうちょっとあってもよかったですね。