6.《ネタバレ》 “実録ヤクザ映画の極北”という評判ですが、たしかに想像のはるか上を行く壮絶さでした、『スカーフェイス』なんて可愛いもんです。主人公が“伝説のヤクザ”と呼ばれているというので、成り上がって組を創って暴れまわるのかと思いきや、最後までただのチンピラで終いにはヘロイン中毒というのはちょっとサプライズでした。この男のやることには何の筋も道理もなく自分の親分や盟友を傷つけたり殺したりで、ヤクザなのにハナ肇や梅宮辰夫がなんかすごく善人に見えちゃうぐらいです。たしかに渡哲也の演技は鬼気迫るというか狂気すら感じさせますが、実はこの役は彼が大河ドラマ『勝海舟』を病気降板してからの復帰第一作なんです。でも快癒というにはほど遠い状態で、後半の演技は体調の悪さがかえって迫力を生むことに繋がりました。冒頭で関係者のインタビュー音声を流す(なんと隠しマイクで録音してしかも無断使用!)など深作監督作としては珍しい手法、でも主人公の戸籍謄本まで晒しちゃうのは現代では炎上必死でしょう。終戦直後から始まるストーリーなので警察が三国人を抑えるためにヤクザを使ったという話はよく知られていますけど、殺人容疑で一審有罪判決を喰らった被告が控訴中に保釈されるという展開には心底びっくりです。それも1950年代の話しですからねえ、昔はいろいろと緩かったということなんでしょうか。あと渡哲也が逮捕されるシークエンス、窓から拳銃を乱射する渡に取り囲んだ警察とヤクザが石を大量に投げつけて対抗すんですが、監督の意図せず本作で唯一笑いを誘うシーンとなっています。たしかにあれじゃあ堪りませんよね(笑)。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-12-09 11:34:52) |
5.『スカーフェイス』を彷彿とさせる、孤独なヤク中の基地外映画。それをあの渡哲也が演じているっていうのが凄いです(今のイメージからは想像もつかん)。ただ、あまりにもこの石川力夫が無茶苦茶過ぎて感情移入など出来るはずもなく、後半は不快感すら感じてしまいました。というか、なんで組の人達は石川にあんなに寛大なんでしょうね? 車爆破の時点で即殺されてもおかしくないような…。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-09-15 09:11:27) |
4.《ネタバレ》 全編通して感じられる熱気は「仁義なき戦い」の流れを汲んでいるのだが、主人公の石川力夫にはそこまでついて行けない。確かに渡哲也の怪演には観る者をグッと惹きつける力がある。仁義と共に墓に入ることとなった石川だからこその数々の行動なのだが、あまりにも無鉄砲すぎではないか。そして、今作は脇にそれほど目立った活躍がなく、渡哲也の独壇場であった。 【TOSHI】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-08-17 13:34:09) |
3.《ネタバレ》 「仁義無き」には仁義があった、此れには全くそれが無い。しかも演じているのが最も礼儀を重んじるという印象の渡哲也、容貌は”大門”そのままで最初から呆気に取られた。狂犬のような男の伝記であるが、憧れや同情のようなものは一切無かった。全くもって異様な人間である、1度ならずも2度も親・兄弟分に手を掛けるのである。それ以前に、周りは此れだけ面目を潰されてよくこの世界で生きていけるものだと感じる。どう考えても指が幾つあっても足りない行動を犯しているのだが。 【まさサイトー】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-02-12 18:14:20) |
2.《ネタバレ》 確か、「大笑い 三十年の 馬鹿騒ぎ」という実在した主人公の辞世の句が話題になったような。とにかくコイツが現れるだけで、強面の893なお兄さん達が泡食って逃げ惑うのが可笑しいのだが、愛人(我が愛しの多岐川裕美嬢!)があまりにも可哀想で、ちょっと観ていてつらかったです。 【なるせたろう】さん 6点(2003-10-15 21:04:19) |
1.主人公・力夫(渡哲也)が生前にこしらえた墓石に刻んだ『仁義』の二文字が意味するのは、仁義への忠誠ではなく、仁義を墓に葬り去るという、強固な意志だ。真に極道たらんとしたひとりの男の、狭く、脆く、強いドラマ。 【mijukie】さん 6点(2003-03-03 00:09:06) |