2.30分もあれば描けそうな物語を、なんとか引き延ばして一本の映画に仕立て上げたような感じがしてしまう内容。原子力潜水艦が事故により海底に沈んでしまう。そんな緊急事態にもかかわらず、原潜の乗組員たちは妙にノホホンとしており、どーにも緊張感が無い。それは、もうじき救出の手が差し伸べられるという期待からなんだけど、しかしねえ、同僚にたくさんの死傷者が出てるのに、こんな緊張感の無さで、いいのかねえ。中には、映画『ジョーズ』を観て楽しんでいる奴までいる始末(←このシーンはきっと、後で描かれる原潜からの救出劇において、サメの襲撃がある、という予告的伏線なのであろう、と私は妥当にも予想していたのだが、驚いたことに、ハズレであった。くそぅ)。そんな弛緩した空気の中、並行して海上での救出活動も描かれるのだけど、こちらの撮影はなかなか気合が入っており、ちゃんとホントに海上で撮影しているぞ(背景の海が合成映像のスタジオ撮影、などではないのだ)。しかもそこで活動する若い士官のひとり、セリフが少ない割に顔だけはやたらよく登場するのだけど、おお、あんたスーパーマンではないですか(だからと言って彼が青タイツに着替えて原潜を助けにいくわけではない)。そういうキビキビした海上に比べ、海底の救出作業は、実にモッチャリしており、なかなか盛り上がらぬ。ではパニック映画はそういう時、どうやってお話を盛り上げるかというと、ええと、大抵の場合、適当に登場人物に死んでもらうことになる(この点でなかなか基本に忠実な映画でもある)。そんなこんなで、最初はノホホンとしていた原潜内部も、危機また危機で、それなりに危機感が高まっていく、まあ、そんなオハナシ。ついに内部の照明も消え、焦燥感は高まる一方…と言いたいところだけど、おおよそ救出の目処がついた段階になってから照明が消えても「今さら、なあ」というかんじ。こういう演出をもっと早い段階で(いっそ、早すぎるのでは?と思えるほど)やっとかないと、どうも緊張感に欠ける。基本には忠実かもしれないけど、要するに、出し惜しみのし過ぎ、なんだねえ。