5.《ネタバレ》 20世紀初頭の中国についてその風俗も風景もほとんど未知だったので、目に映るすべてが珍しかった。
貧農の困窮ぶり、ハンセン病への偏見、むきだしの土の上に並べられた酒壷。嫁いびりの風習と、やりすぎてちょっと反省する男ども。意外にしたたかで生命力の強い女。
結婚・子供の誕生・そして戦争と、流れゆく人々の人生を淡々と子孫の声で綴ってゆく。
音は静かに、だが視覚的には強烈な赤色が全編にまぶされる。コーリャン畑、濃い酒の色、夕陽、流れる血。赤・赤・赤と鮮やかに網膜の裏に刻まれる、一編の詩のような作品だ。