50.《ネタバレ》 公開当時は「なんでまたリュック・ベッソンがジャンヌ・ダルクを?」と違和感がありましたね、ベッソンの奥さんがミラ・ジョヴォヴィッチだったし。しかし製作同年の99年には二人の二年間だけの結婚生活は破綻しているし、この企画は別れる女への惜別かはたまた火あぶりにしたかったぐらいの憎しみの現れだったのか? 手足がもげて首が吹っ飛ぶスプラッター要素が強いドロドロの中世史劇ではありますが、ジャンヌ・ダルクという世界史でも稀な謎に満ちた人物の存在に精神分析学的なアプローチで迫ったところはいかにもベッソンらしい。もっともこの部分はジャンヌが捕縛されて処刑されるまでのラスト三十分で、それまでの二時間続いた中世劇とのストーリーテリング上のアンバランス感は否めませんね。そこで登場するジャンヌの良心の化身という存在をダスティン・ホフマンが演じているというのは違和感が半端ないですけど、斬新なキャスティングだと好意的に受け止めたいです。彼の役柄は、ジャンヌの内心やはたまた神の声と言うのにはちょっと違和感があるし、いわば近代以降の理性が擬人化された存在だと考えた方がしっくりします。そしてこの三十分のミラ・ジョヴォヴィッチの憑き物が取れていった様な表情が良いですね、前半のいつも怒鳴っているような険しい顔つきからなんか可愛いとすら感じてしまうところまで変化してゆく、ミラ・ジョボヴィッチなかなか良い演技です。 けっきょくジャンヌはシャルル七世などの王家にはいいように利用されて見捨てられたわけですが、やっぱイングランドの手先になってジャンヌに火刑を宣告した教会がいちばん醜悪。この映画では教会はいったんジャンヌが改悛したので許したのに、イングランド側が男装させて魔女としてジャンヌを処刑させたと史実とは微妙に異なる責任転嫁をしている。当時のローマ法王が直接関与したわけじゃないだろうけど、ベッソンめローマ教会に忖度して日和ったかな?だいたいからして、二十世紀になってからやっとジャンヌを列聖してるぐらいだから、カトリック教会も後ろ暗いところがあったんだろうな。 【S&S】さん [CS・衛星(吹替)] 6点(2022-09-06 23:06:56) |
49.《ネタバレ》 ま~、面白いかと言われれば、たいして面白くないわけですが。ジャンヌ・ダルクの話となると、どうしても宗教臭くなってしまいますし。しかし本作では、ジャンヌの神がかりを「まがい物」として描いているところが興味深いです。自分が信じているから信じられるんだ、みたいな。それが行き過ぎると狂信的になってしまうわけですが、ここでのジャンヌはそこまで行っていないのが中途半端というか、ある意味歯がゆい。もしかしたら、狂信的になってしまったほうが、面白い映画になったかもしれません。 それとこの映画、製作されたのが1999年だというのが興味深い。ジャンヌの神がかりによって兵士たちが鼓舞され、イギリス軍を破ってしまった。神を大義名分にすれば大衆は扇動されるということを、ものの見事に描いています。この映画の数年後から、神の名においての破壊行為が頻発するのですが、これは偶然なんでしょうか。テロリストの指導者たちは、しっかりこの映画を見ていたりして。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-30 21:24:15) |
48.《ネタバレ》 最初の方は結構、イイなあ、と思ったりするんですけどね。少女時代の主人公が、イギリス軍の焼き討ちを目撃する場面。この少女、もともと、信心深いというよりは神がかり的な、少なくとも相当レベルに浮世離れしたところがあって、見てる我々もそういうもんだと思って見ていると、突然走ってくる狼の群れが不穏な空気を漂わせ、そして唐突に目前に現れる、放火と虐殺。一体何がおきたのか、何が現実で何が非現実なのか、という衝撃。 導入部としてはもう、「ツカミはOK」なんですけれども。 ただ、成長した主人公が戦乱に身を投じる主部に入ってくると、合戦シーンにイマイチ乗れなくって。それなりにエキストラを動員してそれなりの物量を投じていることはわかるんですけど、こうも接近した撮影が続くと、やっぱり規模感が希薄になっちゃう。もしかして大半のシーンは少人数・小面積で、チマチマ撮ってるんじゃないの~とか思えてきて。やっぱりもっと、引きの映像での規模感とか、距離感を伴った動きとか、取り入れて欲しいなあ。 主人公をいちいち迷わせることなく「信念の人」として描いているのも悪くないと思うのですが、それが終盤に揺らぎはじめる。これはこれで確かにひとつのアプローチ、ではあるんでしょうけれど、物語としての魅力には、やや欠けている気がして。「神が英国人を殺すことをそそのかすなんて、やっぱりヘンだよね」と、英国マーケットを気にして日和ったのかどうか、それは知りませんけれど、いずれにせよ、映画自体が急に主人公と距離を取り始めたようなよそよそしさを感じさせて、違和感、あるんですよね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-04 13:26:39) |
47.《ネタバレ》 知ってるようで知らなかったジャンヌ・ダルクについて、少しだけわかったような気になれたことが収穫。 しかも、かならずしも神がかり的な存在としてではなく、「見たいものを見ているだけの少女」だったのかもしれないという冷静なツッコミもあって、およそ宗教とは無縁な私でも共感できました。 しかしその分、ストーリーとしてはやや一本調子でしたが。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-06-27 22:48:35) |
46.ストーリが浅いように感じました。悪い意味で漫画的展開です。歴史的なリアリティを求めるのであればオススメできませんが、気楽な気持ちで観たい人にはアリかもしれません。 【ばかぽん】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-05-06 06:47:26) |
45.前半の盛り上がりは良いが、後半が少し乱雑な印象。ジャンヌ・ダルクに興味を抱くきっかけを作ってくれたことには感謝しています。 【njld】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-10-12 23:32:16) |
44.《ネタバレ》 ◆不合理だらけの中世ヨーロッパが舞台の戦闘と宗教を描いた映画。◆脇役にいたるまで漫画的なキャラクターがたくさん登場し、いかにもな衣装を着ているので、映像を見てるだけでおもしろかった。◆ジャンヌが奇声を上げながら敵の砦に突っ込んでくシーンは笑った。後半、このテの弾けたシーンがなくなってしまったのは残念だ。◆戦闘シーンはユーモラスで、珍兵器続出。「マヌケな中世」を金かけて映像化するのが、この映画のもうひとつの狙いかな。◆主題であるジャンヌのイキザマに関しては、かなり貶めた内容だろう。◆無知で野蛮で憑依体質のジャンヌ…戦場を駆ける巫女さん…そんな程度の人物が歴史を動かすことが可能だったのだろうか? 可能なのかもしれない。それほど中世ヨーロッパとは愚かな時代だ。◆前半のジャンヌが子役のころに、野山を駆け回るシーンは爽快だった。この天然系の少女が、長じるにつれ、神に蝕まれ、己を見失い、やがて身の破滅を迎えることになる悲劇性が、この物語の中心。◆しかし、「懺悔すれば全て許される」的な、キリスト教の価値観はどーにも理解できず、ジャンヌの良心とやらに同情不能。かといって彼女を取り巻く、いかにも中世テキな人物たちにも共感を覚えず、感情移入が難しい映画だ。◆ベッソンが金をかけて中世を描いたことに5点…なんとも身近なジャンヌ像を演じてくれたミラの素朴な魅力に+1点。 【ワルモノ】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-11-28 01:41:33) |
43.非常に「誠実」な映画だと感じた。 でも、こういった誠実さは、エンターテイメントには時に不要だったりする。ましてや資金をつぎ込んだ大作には。 「こんなのジャンヌじゃない!」という妄想に、「実際こんなもんだろ?」という妄想をぶつけた内容は評価できる。 新選組などを下手に描こうと思ったら、ものすごい「ご意見」が寄せられるらしい。恐ろしい。歴史ファシズム。 何百年も前の事なんて、小説も、映画も、歴史的事実も含めて「フィクション」でしょうに。 【笹】さん [映画館(字幕)] 6点(2005-10-15 08:27:08) (良:3票) |
42.戦闘は迫力ありますね。ジャンヌが綺麗にみえたり不細工にみえたりした 映画です。ベッソンらしさはあまりないですねえ。 【とま】さん [映画館(字幕)] 6点(2005-06-26 22:44:33) |
41.《ネタバレ》 第一印象は「気性が激しく侍魂を持つ娘」。姉を殺された復讐心や国王を慕う気持ちから、神のお告げを妄想している女の子。いつの時代も、でしゃばると「出るくいは打たれる」って事になるのね。ジャンヌの気合は素晴らしいけど、こんな生き方はイヤだ。 【紅】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-04-03 21:19:37) |
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【ネフェルタリ】さん 6点(2004-10-03 10:48:09) |
39.ベッソンさん、あなたが監督した映画は評価されるのにあなたがプロデュースした作品は評価がズタボロなのですか? |
38.最近、学校の世界史で『ジャンヌ・ダルク』について学んだ。初めてジャンヌが戦場に出たのは17歳の時、そして火あぶりによってこの世を去ったのは19歳の時。たった2年の間に彼女の人生は急変してしまった。一人の女の子が神の言葉を聞き、そして男たちを連れて戦場へ。おいおい!17歳の女の子がリーダーかよ!やってらんねぇ~よ!スゴ過ぎるだろ!勇気とか勇敢とか、もうそんな気持ち的な次元じゃねぇ!ヤバイよジャンヌ! 【ボビー】さん 6点(2004-09-29 13:12:03) |
37.戦争英雄譚かと勝手に決め付けていたんで、後半は意外と面白かった。神の啓示はともかくとして上り詰めるまでがイマイチ説得力がなく面白みが足りない。大衆煽動者である一方、死なないヒロインとして周りから祭り上げられのと逆に、自身は死を怖れを感じ、為政者からは疎んじられる。洋の東西、時代は問わず、英雄の最期の一つのパターン。彼女が本当に救われたかどうかは彼女しか判らない。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2004-09-25 11:19:01) |
36.《ネタバレ》 ただの伝記映画だと思って観たのですが、どちらかと言えばジャンヌの精神性に焦点を当てた作品だったので、思い描いていたジャンヌ像とは異なる印象。神の啓示を受けたと云われるジャンヌも、それは神の言葉ではなく自身の心の声であった…と新説したかったのか、はたまた彼女の考えなり行動の矛盾を突きたかったのか…、ちょっとイマイチ不明瞭。これを観ると、なんかジャンヌ・ダルクがただイッちゃてるアブナイ人の様も見えなくはないのですが…、実際ジャンヌ(ジャネット)の少女期特有の精神不安でヒステリックに陥っていた…と言う説もあるので、後半の回想シーンからジャンヌの行動・思考を探究するかの様に、真っ向から否定していくラストの火刑までの流れは実に興味深い所。…ただ、本当に自我の葛藤があったのかは定かではない為、ジャンヌ自身が自分の世界に入り込み過ぎる後半の演出に、どうも着いて行けませんでした。あまりにも有名な“ジャンヌの悲劇”なだけに、これからどうなるのか…と言う興味が無いに等しい為、彼女についてまだ知らない部分を中心に描いて欲しかった気はする。 【_】さん 6点(2004-09-25 00:32:17) |
35.欧州の歴史の知識やキリスト教のバックボーンを持っているといないのとでは受け取り方が随分と違うのではないかと思う。彼女の英雄的な行動を表面的に知ることは出来たが、それ以上となると深い溝を感じてしまう。 【ロイ・ニアリー】さん 6点(2004-08-01 20:01:07) |
34.もったいないというか、なかなか深い映画なんですけどね。ジャンヌ・ダルクをテーマにしながら、神の意思や英雄物語の否定をやっちゃってるわけですよ。神の意志による戦争という矛盾、伝説ではないジャンヌの実態など、すごくいい視点ですよ。ジャンヌの抱く、美化された死や奇跡のイメージのビジュアル化、人格化された良心との対話など、素晴らしいアイデアもいくつかあります。ただし、全体的に切り口が短絡的なために、主題がかえってブレてしまってます。戦場に転がる死体にショックを受けるジャンヌ、愚直なまでに神への信仰を叫ぶジャンヌなど、ちょいとしつこすぎです。王位を得た途端に傲慢になるシャルル7世の描写も、あまりに単純すぎてガッカリでした。姉の惨殺、ジャンヌへのリンチなどの描写も、生々しすぎてかえってメッセージ性を削いでしまってます。この辺が、常にベタにこだわり続けるベッソンの限界なんですね。まぁ、戦場の迫力は大変なものだったし、「Follow me!」には燃えたし、アランソン、ジル・ド・レ、ライール、ジャン・ドーロンなど、ジャンヌの脇を固める男達はみんなかっこよかったし、娯楽性もそこそこ。悪い映画ではないと思います。 【ザ・チャンバラ】さん 6点(2004-07-31 16:29:51) |
33.ジョヴォヴィッチしか観てませんでした。全体的なストーリーはイマイチでしたが、それぞれのシーンでは結構まめに構成してたりする。最後のシーンでとまどった顔をするジョヴォヴィッチが何とも言えぬ味を出してました。 |
32.けっこうあっという間に終わった印象。感動したシーンもいくつかありましたが、トータルで考えるといまいちかと。それに感動したところは、全部戦闘の場面だったことを思い出し、さらによくわからない映画に思えてきた。 |
31.非常に残念な作品。端的に言うと前半と後半で全然違う作品になってしまっている。2本立ての映画を見た気分。前半のダイナミックなスケール感だけを評価するのもなんだし、後半の哲学的な深みだけを評価するのもなんだし、トータルして見るとやっぱり構成が悪く感じる。 【もとや】さん 6点(2004-03-10 14:54:56) (良:1票) |