1.60年代、コテコテの様式美、中央アジアの美しい色彩、寒そうな空気。そういう化粧を落とせば、結局アキ・カウリスマキと同じテクニックで作られていると思うんだけど、これだけ素材がよけりゃ別の映画になるよなあ。シルクロードの峻厳さがフィルムに写ってるよ。子供時代、全裸で山を駆け回る主人公とヒロインの姿も、視点がポエティックでグー。主人公の一生を通して、中央アジアの文化や世界観がじんわりと伝わってくるのも良い。ただ~し! この魔術的リアリズムというかお経みたいなと言うか、尋常でなく波乱に乏しい演出をどう見るかは見る人それぞれの眼力に委ねられるでしょう。オイラは「もうちょっと幻想的にしてもよかったんじゃないか」と思います。しっかしアフガン戦以降、中央アジアはどうかしちゃったよなあ…こういう光景、もう現地でも見られなかったりして…。