2.「パリ20区」や「今日から始まる」の擬似ドキュメンタリーと違い、本物のドキュメンタリー。 保育園のような小さな学校の小さな教室に集う、学年さまざまな児童たちとロペス先生は大きな家族にも見える。 けっして声を荒げることなく辛抱強く一人ひとりに接する先生は、(「他の仕事はできない」というように)この仕事が天職なのだろう。 教室をとびだした野外授業も楽しいひととき。 でも自分の退職が近いことを先生が伝えた時の児童たちは不安を隠せない。 子供にとっての1年は長く、何年も教えてくれた先生がいなくなるなんて信じられないのだ。 先生とて同じこと、残された時間に残していく在校生、中学に上がる卒業生、新しく入学してくる新入生に何くれとなく心をくばる。 ドキュメンタリーは真実であるがゆえの強みと、素材だけで勝負しなけらばならずそれ以上の補強ができない弱みをあわせ持つが、大きな都会になればなるほど存在しがたいとは知りつつも、こんな先生はどこにでもいてほしいと思わせる。 タイトル(原題)は「BE AND HAVE」の意。