2.《ネタバレ》 最後の決闘が迫り、不気味に太鼓の音が鳴り響く。
この緊迫感だけでも、時代劇映画史上、屈指の緊迫感である。
そして、決闘のシーンの迫力も凄まじい。
演じている人達の鬼気迫る息遣いが伝わってくる様だ。
しかししかし・・・
それらのシーンは、決闘の緊迫感たる頂点を極めた演出なのだが、いかんせん、暗すぎる。
話も暗すぎるし、モノクロの映像も暗ったい。
とにかく空気が澱んでいる。
徳川家の覇権を争う為に、何故にここまでやらなあかんのか理解に苦しんだ。
家族を皆殺しにしてまで、出陣する侍の気持ちがまるで分らない。
そこんとこが分からないから、根本的に分からない。
ここまでやる必要が、そもそもない。
これは、これ以上なく心が暗くなる稀有な時代劇である。
それにしても、安部徹は酷い。
あいつは偉そうにしていて、何もしない。
そして生き残る。
しょぼい脇役の多かった安部徹が、最も暗く輝いた、彼の代表作であるように思う。