1.満洲引揚者が福島の浪江の地を与えられたのは有名な話。本作では原発をダムに置き換えているのは明らかでしょう。さすがにその後の爆発事故までは想定していなかったのだろうが、現代的にわかりやすく言えば、避難せずに残った母娘が原発作業員を相手にしていたと考えればよりイメージしやすいのかも。という意味では、かなり政治色の強い作品ではあるが、単なる棄民というだけではなく性を武器に復讐を図るという形に仕上げたのは、少々やりすぎというか2重の差別構造が内在しているようにも思え、どちらを主張したいのかメッセージとしてわかりにくくなってしまったような。ただし、舞台風のオーバーな演技もあって作品そのものとしては訴えるものがあり印象には残る。