1.《ネタバレ》 モノクロ映像が抜群に格好良い。
特に、室内シーンの抑えの効いた雰囲気はどのショットも皆素晴らしく、自分が今まで観てきたモノクロ映像の中でも1位2位を争うほどだと思います。まさか、1992年の映画に絶賛すべきモノクロ映像が存在するなんて夢にも思いませんでした。
ストーリーは、残念ながら個人的にはあまり好きではないタイプのものでしたが、モノクロの映画らしく、貧しい芸術家たちの生き生きとした姿を時にユーモアを交えながら描くというクラシックな感じが出ていた気がしました。
自分の愛した女が病に倒れ、医療費を捻出すべく絵や車などを売る姿は特に印象深いシーンとして心に残ります。
映画の中で流れる音楽が、作曲家の奏でる曲も含め効果的に用いられていましたし、ラストの「雪の降る町を」も、とても良い雰囲気が出ていたと思うのですが、もし他の国の人が観たら、突然の日本語に違和感MAXなラストに感じられてしまうのでしょうか?
しかし、我々としては日本を贔屓してくれる人に対してはどうしても好意的な感情が生まれてしまうので、より味わい深いラストに感じられるのです。