1.よくできてはいるけれど、飛び抜けたところがない。可もなく不可もなく、というのは言い過ぎかもしれないが、いかにも文部省選定といった感じの無難な内容。
もっとも、地味なお話をここまで完成度の高いアニメーションに仕上げたのは確かな実力の証だとは思う。両親の不和に悩む女の子の心情描写には説得力があって、これといった捻りや目を見張る工夫は無いのにも関わらず、それなりに感動させられた。犬も愛らしく、記憶に残る。
しかしいかんせん、物語に拡がり、奥行きがない。とくに脇役が薄っぺらく、お手伝いさんのとってつけたようなおとぼけキャラといい、人物配置の卒のなさが鼻についた。小学校の授業で観せられたいくつかのアニメーションと同じで、まずまず面白いのだけれども、お気に入りの作品にはなりえない。そうなるには、お行儀が良すぎる。
一流のコックが二流の素材を使って料理して、できあがったのがこの作品だと思う。非常に惜しい、佳作。