8.《ネタバレ》 ストーリーがしっかり作りこまれているとは思いますが、やはりアイデア・映像先行のアート的な作品だと感じます。どちらかと言えば、視覚的な面白さを追求した作品ではないかと。
ですので、ディテールにおいては甘さがあります。こういう作品こそ、ディテールにこだわり、矛盾点を無くし、作品に説得力が生まれればより高度な傑作に成りえたかもしれません。
今作に関しては、ルールを事前に知ってから見たほうが楽しいかもしれないですね。『価値観が変化する』⇒『色がつく』という着想は実に面白いです。最初は色がつくきっかけがよくわからなかったんです。ルールがよくわからないまま物語が進行していくので、もやもやします。最初から知っていれば、映画を見たときの感想がまた違うものになるかもしれません。
ちょっとだけクレーム。①リモコンを渡した電気屋さんは主人公に対してクレームなんぞつけずに、終始、第三者的視点でいて欲しいです。②どちらかと言えばファミリー向け作品の雰囲気がするのですが、それにしては下ネタ多くないですか?③お母さんに不倫してほしくない。しかもお父さんとお母さんの関係はラストで修復されたのかよくわからないままです。あの三角関係が適当にスルーされるのは不自然です。④価値観の変化により、妹のほうがプレザントヴィルに残り、兄のほうが現実世界に戻るというのは、流れ的には間違っていないと思います。ですがプレザントヴィルの世界がどこまで広がっているのか、はっきりとしないまま妹がその世界でバスに乗って大学に行こうとするのは、世界観が崩れます。プレザントヴィルはやはり架空世界のままのほうが、収まりが良いんじゃないでしょうか?