1.《ネタバレ》 大川橋蔵と丹波哲郎がロウソク以外は闇のセットに立ち、大川がそのロウソクをパッと跳ね上げてタイトルになるの。山下耕作の様式美が展開するかと思っていると(『関の弥太っぺ』の翌年の作なので)それほどでもなく、川原での大でいりも、ごちゃごちゃとしてチャンバラの妙味に欠けた。十朱幸代も困惑顔ばかりなので、前年作よりブスに見える。いいのは脇役連中、金を貰っていながらいざとなるとソーッと逃げ出して丹波に斬られる西村晃、この人はみじめに殺されるのが実に似合う(『十三人の刺客』に冷徹な剣豪の役で出てて、『七人の侍』の宮口精二を思わせる貫禄。でもラストで狂った男に追いかけられ、地を這いずって逃げ回り、犬のように殺されていくってのが私が見たなかでは最高にみじめだった)。あと卑怯者の金子信雄があっさり丹波に斬られるとこで、場内に笑いが起こったと記憶する。