1.《ネタバレ》 前半は申し分のない出来。感染率99.9%の疫病発生で、ほとんどの人類が死に絶えるという衝撃的な内容。奇跡的に免疫を持った人がいて、その人たちは共通の夢を見る。東方のトウモロコシ畑でギターを弾く黒人の老女“マザー・アバゲイル”の姿。ぞくぞくとそこに集まってくる。ここで各人のキャラクター描写がよくなされている。とくにニック(聾唖者)とトム(知的障害者)のコンビが最高。一方で、悪夢も見る。これは闇の男、悪魔”フラッグ”の姿で西方のラスベガスで、悪人を集めている。後半で善悪の戦いとなるのだが、面白さは失速する。老女が失踪したり、恋愛や裏切りなどがあり飽きさせない工夫はいろいろとされているのだが、肝心の悪魔が怖くないのだ。悩んだり、悲しんだり、怒ったり、歌をうたったりで、普通の人間と変わらない行動。特殊メイクやCGも冴えない。部下にいろいろとやらせているけど、特殊能力があるのだから自分でやればいいのにと思う。トラッシュという放火魔が物語のキーを握る。悪魔に仕えながらも、愚かさゆえに(?)悪魔を裏切ることになる。最終的に神の手によって原子爆弾が爆発して悪魔も悪人たちも滅ぶ。こんな終わり方でいいのかと批判も多いと思う。悪人で救われるのは誰もいないのだ。悪人達があまり悪人そうに見えないのも欠点だろう。またそもそもどうして両者(善人の都市と悪人の都市)は対立しているのかがわからない。悪人達が善人達を滅ぼしたいのなら武器を持って攻め入ればよいのだ。苦労して飛行機で爆弾を落そうなんて考えなくてもいいだろう。若い頃のスティーブン・キングが見れるのはうれしい。