1.《ネタバレ》 辛口コメントが多いので、どうかなーと思ったけど、そんなに悪くない。史実に忠実な伝記映画だと思う。まずはシューマンが「梅毒で死んだ」ことを、はっきりと病名は出さないのではあるが、病状をはっきり描いたことはよかったと思う。これまではやはり「聖楽・シューマン」という遠慮があったと思う。クララも40代の中年女性として等身大だと思う。天才で大スターとはいえ、シューマンとは大恋愛で結婚し8人もの子どもを次々に出産でこれだけ綺麗なら上出来です。衣装も品があってよかった。40代になって夫が精神病で、子どもが8人もいたら「手に職」があっても人生的にはどん詰まりですからね(クララ本人は「子どもは多くても4人程度で充分だ」と言っている)。それでも夫の曲を延々と弾き続けて、シューマンを「聖楽・シューマン」にしたのはシューマンの死後も続けられた、クララによる「シューマン演奏キャンペーン」の成果ですから、やはりすごい人だと思う。ブラームスも「天使のように美しい青年だった」とシューマン家のお子さん達が証言するよりは、ヤンチャな青年に描かれていますが、一生涯、クララとシューマン家のお子さん達への経済的な支援を続けていった一途さを表現しようとしたのがラストシーンなんだと思う。でもブラームスはこの映画では脇役ですね。主役はやはり、「強い40代女性のクララ」だと思う。ピアノの弾きっぷりも豪快でした。