2.《ネタバレ》 ギリシア神話を下敷きにして、現代のニューヨークを舞台に、盗まれたゼウスの最強兵器「稲妻」をめぐっての冒険譚。冒頭の巨大ポセイドン出現場面では期待したが、以降の威厳の感じられない神々には幻滅させられた。総じてファンタジー色が少ない。高校生とファンタジーでは親和性が薄い。原作の12歳の方が適切だ。活躍する舞台は地上ではなく、天上などの異次元にした方がよい。そうすれば園芸店にメデューサがいて客を石に変えているが人間に露見しない、という矛盾がなくなる。ゼウスがポセイドンを呼び付けるが、そこは高層ビルで、共に人間の姿。摩天楼をオリンポス山になぞらえているのはわかるが、神同士なら天上で会えばよい。ファンタジーはイメージが大切だ。カインの渡し守もハデスもその妻も人間の姿。手抜きであろう。ゼウスはこれといった理由もなく、ポセイドンの息子パーシー(P)が犯人と決めつける。そしてポセイドンに「期日までに持ってこなければ戦争だ」と脅す。それでいて息子との面会は許さない。酷い神だ。Pは継父の酷い悪臭で神々から隠されているという。酷い設定だ。でも何故隠すのか?「Pが稲妻を盗んだ」の噂が広まり、「稲妻」を奪いに魔物が現れる。魔物に居場所が分るのに、ゼウスには分らない?母が冥界の支配者ハデスにさらわれ、ハデスは「稲妻」と母の交換を条件とする。Pは仲間と母の救助に向うが、先ず冥界からの帰還に必要な「真珠」を見つける必要がある。ここからペルセウス神話をなぞっての冒険が始まる。宝探し、怪物退治、ロード・ムービー、旅の仲間等の要素で、最大の見せどころ。が、残念ながら盛り上がらない。緊迫感がないのだ。「ジュラシック・パーク」の恐竜の迫力と比較すれば一目瞭然。前段のキャンプでの訓練もチャンバラにしか見えなかった。冥界で、ハデスを説得して母を返してもらうという最大の難問が立ちはだかるが、労せず解決してしまう。カタルシスは得られない。帰還してルークと一騎打ち。彼が「稲妻」を盗んだ真犯人で、楯に隠してPに与え、冥界でハデスに渡るように企んだのだった。「稲妻」が実践で使用されるが、驚くほどの威力はない。羊頭狗肉だ。夜の場面が多く、見にくい。何故魔物の近くに真珠があるのかは謎だ。真珠を守っている様子はなく、ハデスとも不連絡。真珠が足ずに一人冥界に残るが、後にPがゼウスに頼んで戻してもらう。無駄な挿話はやめよう。