3.《ネタバレ》 実はわたくし、H・スワンクを初めて観たとき「この人A・イアハートと瓜二つだ」と言うのが第一印象だったので、まさに満を持しての主演じゃないでしょうか。きっと本人も自分がイアハートに似ていることを自覚していたので、自ら製作総指揮を買って出る大熱演となったのでしょう。 航空映画は空を飛ぶ飛行機をいかに美しく見せるかが命ですけど、その点は航空ファンである私も大満足でした。とくにアフリカの上空を飛ぶロッキード・エレクトラの姿は、『愛と哀しみの果て』の映画史に残る空撮シーンにも負けない素晴らしい画でした。 R・ギアやE・マグレガーといった取り巻く男たちのキャラが薄いのが難点ですが、もっとこの映画の脚本の困ったところは肝心なイアハートの人物像までもが曖昧なままで終わってしまうところでしょうか。純粋なヒコーキ馬鹿なのかなと思えば活動資金を得るために商売っ気もまる出しなところもありで、そこら辺のキャラが中途半端に描かれているのは失敗だったと思います。女流監督が撮った女性映画という見方もありますが、やはりここはスコセッシの『アヴィエイター』みたいにコテコテのドラマにした方が良かったのではないでしょうか。 イアハートの遭難は、アメリカの歴史に刻まれた“世紀の謎”なんですから。