7.《ネタバレ》 全てのレビューを読ませていただき、ほぼ語り尽くされていることを確認してしまいました。最早、書き足すことは殆どないですね。
冒頭のエピソード振り返りの無意味さ、そもそもの人物設定の無意味さ、常に身を危険に晒しながら、逃げ惑い、籠城し、ついには力尽きて捕獲されるという一連の行動に対しての感情移入の困難さ。更には、いろいろな作品との酷似感、ベタベタ&ヌルヌルを含むエイリアンの造形の既視感などなど。細かく語ろうとすればするほどに酷評し尽くしたくなる。
おそらくは、制作者は上記のような批判、反感を呼び込みたくて作ってはいないでしょう。是非はともかくとして、映画作りが楽しくて楽しくて仕方ない中で、ある程度ノリで積み上げていった結果の作品であると思いました。この作品がどこまでも真剣にサイエンスフィクションしているのか、大作映画としての要素を身に纏えているのか、制作者自身見失ってしまったのかも知れません。
ただ、それでも作り手、送り手の満足感や達成感が伝わって来て、観終わってみれば結構楽しんでいる自分に気付きました。なので、限りなく5点に近い6点献上です。
追記。主人公について思ったこと。
どうしようもなく情けないぐらい思考力がなく危機管理が出来ない人物という感じですが、もし本当にこんな危機に直面したら、6・7割の人はこんな風に行動してしまうかも。この状況で正常な精神状態を保つことは、一般人には恐らく出来ません。そういう意味で、決して肯定できないながらも、ある種の感情移入が出来ます。
もう一つ。最後、エイリアンに生まれ変わっても彼の記憶と感情が健在なのは、恐らく特異な体質だからでしょう。青い光に魂を吸い込まれそうになり、以来、そのパワーの残存感を感じている。感覚だけではなく右わき腹には、エイリアンに通じる何かが生まれ、彼の体内で成長している。エイリアンと同化しつつある肉体。その脳の移植によって生み出された新たな生命体は、生まれながらにしてハイブリット。この存在が、地球の、そして人間の未来を暗示している。
加えて彼女の存在。お腹に命を宿した人間とくれば、そのお腹の子が生まれた時にはエイリアンとの特殊な関係が成立していることでしょう。思えば、彼女もまた彼と同様に、青い光によるパワーの残存感を感じている。偶然にも恋人同士、2人揃ってエイリアンとの奇妙な繋がりを有しているのでしょう。しかもお腹の子は彼の子である訳ですし。
という訳で、まだ観ぬ続編に良くも悪くも期待します。