4.《ネタバレ》 有名人でもなんでもない、一般のサラリーマンのおじさんの闘病記=エンディングノート。映画というよりドキュメントのような作りで、なので盛り上がらせようとか逆に静かにさせようとかいう演出のようなものはほとんどありません。がんになったお父さんのエンディングノートをその娘である次女が読み上げ、映像は次女が撮影したものを流して…という内容。仕事を定年退職した男が、その直後にがんを発症し、それにどう向き合っていくかを描いています。
自分は死に向き合ったことはまだありません。ので、この方の心情は測りかねますが、淡々と自分の死後のことを整理していくその様は、すでに覚悟を決めた人間の強さなのかと思いました。自分があと何をすべきか、残された人たちのために何を整理すべきか、何を残すか。とても落ち着いた向き合い方でした。演出のない映画だと書きましたが、この方の立ち居振る舞いは映画に出てくる俳優のように凛としたものでした。それまでの自分の人生を振り返り、反省すべきことを反省し、良かったことを良かったと認め、自らを整理する。すごいことだと思いましてが、でも逆に、死に直面した人間とは皆こういうふうになるのかと興味を持った面もあります。自分も何かのきっかけで自分の死を見た時、このようになれるのだろうか。
エンディングノートの内容を聞かれてひとこと、
「死ぬ前に教えるバカがあるか」
これは笑えました。
私もエンディングノートを作るかは分かりませんが、家族のための整理、さらに自分の人生の整理のため、似たようなことをしようか、そう思った作品でした。