2.現在であればCGなどをふんだんに使って制作できるところを全てセットとエキストラで対応してここまで
の臨場感を演出したことに驚きます。
まだ原爆の記憶が残っていて実際に体験した人たちも参加しているということが、さらにリアルさを出して
いるのだと思うし、あの時代でなくてはこの作品は制作できなかったと思う。
それにしても松竹が削除を求めた箇所(①爆弾投下した米パイロットが地上にいる市民に同情などしないとい
う告白が学校で放送されるシーン、②病院で米国は無辜の市民を原爆のモルモットにしたと高校生が語るシーン、
③原爆で死んだ人の頭がい骨を集めて米人に土産物として売ろうとするシーン)がもし削除されていたら、この
映画の価値は半減していたと思うので、苦渋の決断だったとは思うけども、要求を断った制作側には敬意を表
したい。
それにしても終戦特集でEテレで放映されるまでこの映画の存在は知りませんでした。まさに忘れられた映画と
なっていたということ。その理由が、この映画がイデオロギー色が強く、東西冷戦が激化するなかで米国を刺
激しないようにとの忖度が働いたというのは、あまりにも酷いはなし。
平和や反戦を求める声に「アカ」と罵声を浴びせる風潮が今も残っているのは悲しいこと。