1.《ネタバレ》 エンディングの合成写真のクオリティの低さ(=デリカシーの無さ)を見るにつけ、やはり堤監督に正統派の“泣き映画”は無理なのだと実感させられます。カメラぐるぐる演出も然り。もっとも監督が誰であれ、この脚本で泣くのは難しかったかもしれません。いわゆる“心中もの”に日本人は寛容です。可哀相で済ませてしまえる国民性を有していると考えます。そうだとしても、この結末は“無い”と感じました。逃げ道も代替案も山ほど残っているのに、選択肢を勝手に減らしたのは父親自身なのですから。キング原作の某SF映画(このサイトでも賛否両論)のお父さんの方が余程同情出来ます。少なくとも美談風の甘い後味にしたのは間違いだったと思いました。これが愛の物語?そう父親の自己愛の物語に違いないでしょう。こんなとき上岡龍太郎の言葉が思い出されます(間違っていたら後免なさい)。『親は子供に「人様の迷惑になるな」と教えるけれど、僕は違うと思う。他人の迷惑にならずに生きる事など無理。そう考えるほうがおこがましい。僕は子供に、迷惑をかけても許してもらえる人になれと言っている』マコちゃんは許してもらえない人間ですか? 役者陣はみな素晴らしかったと思います。彼らの熱演を見るだけでも劇場鑑賞の価値はあるかと。それにしても、宅間(うーやん)の演技プランの元ネタはローラに思えて仕方がありません。