2.《ネタバレ》 よくわからないがマンガの原作を受けた特別編のような形らしい。物語の本体部分がファンタジー世界に属していて、そこから現世との関わりが生じるところは「聖戦士ダンバイン」(1983)を思わせるものがある(当時ろくに見ていなかったが)。発想が古いか。
全体として、何も考えずに見ている分には普通に面白いアニメだが、しかしそれほど独創的なところもないようで、また個人的にはキャラクターでも事物でも特に好きになれるものがないのが困った。強いていえば石の研究家のおねえさん(お母さん)が感じのいい人だったというくらいで、結果的にはどちらかというと微妙な印象のアニメだった。
物語的な面でいえば、魔法世界と現実世界に接点を持たせた上で、その魔法世界との対比で現実世界の特性と特長を明らかにしようとしたと取れる。しかしそのようにして示された現実世界の本質のようなものは、大人の立場としては今さら教えてもらうほどのものでもない。この話が何かの役に立つとすれば、日頃から本気で魔法に憧れている人物(例えば年少女児)に、絵空事の魔法などに夢中にならなくても現実の人間社会に素晴らしいものがたくさんある、と気づかせることかも知れないが、しかし本当にそういう低年齢で純真な観客に見せるにしては話が面倒くさく、子どもが素直にわかるように作ってあるとも思えない。対象層と内容の間に齟齬があるように見えるのはよくあることかも知れないが、そういうところが対象限定のオタクアニメらしく感じられる原因かも知れない。
そのほかいいところを挙げるのは難しいが、ネコのようなのが死にそうになったのは哀れで少し悲しくなったので、ここは年齢問わず心に訴える場面になっていたと思われる。またあからさまな少女嗜好が出ていない(見ても見ないふり可能)ので、親子で見ても構わない作りにはなっている。