2.《ネタバレ》 ジョン・フォードの切り取る風景は、大地が草木が青空が一丸となったような深く穏やかな息吹を感じさせる。この映画においては冒頭と最後の鉄道を走る列車のショットがそれだ。おそらく静止画であればこれほどまでの感動は得られないであろう構図だが、モーションピクチャになった途端に命が吹き込まれ、その有機的なエネルギーが画面から溢れ出すのだ。映画の内容としてはジョン・フォードの他作品同様、心地よく観続けていられる滑らかなショット繋ぎと安定した物語により、安心して楽しめる内容となっている。この監督の思想、視点の高貴さは疑いがなく、一見どんなに凡庸または偏見に満ちた物語に思えたとしても、よくよく観ていけばそれらの疑念は霧散してしまうのだ。ゆえに安心して観ていられるし、二度目以降の観賞においても飽きることなく楽しめてしまう。……リバティ・バランスの撃たれ方が格好良い。